簿記 3級に合格するための学習戦略
日商簿記3級の出題範囲は、実はそれほど広くありません。
日商簿記2級が「小学校の25メートルプール」、日商簿記1級が「スパリゾートハワイアンズの大プール」だとすると、3級の出題範囲は「ビニールプール」といってもよい狭さです。
これは誇張ではなく、実際に2級、1級を受けた方には同意していただけると思います。
ですので、さらに上級をめざす方にはピンポイントの学習ではなく、3級の内容全体を学習していただきたいものです。
もちろん、試験対策として、問題ごとに出題頻度の高いパターンを把握しておくことは有効です。
しかし一方で、出題パターンに固執しすぎて、予想外の問題に手も足も出なかったという声も聞かれます。主催者側もそれを見越して、受験者の度肝を抜くような問題を織り交ぜてきているように見受けられます。
さらに、第1問~第5問の内容はそれぞれが独立したものではなく、
・仕訳
・伝票・補助簿・総勘定元帳の記入
・貸借対照表・損益計算書の作成
・試算表・精算表の作成
という一連の流れでつながっているので、できるだけこの流れを意識しながら、テキストの内容を網羅する感じで勉強しておくと、多少ひねりのきいた問題が出されても、うまく対処できると思います。
このことを踏まえたうえで、問題ごとの出題パターンと戦略をご説明したいと思います。
第1問
仕訳問題が5問出題されます。そのうち3問は、現金取引、商品売買取引にからんだ基本問題が出題されるパターンです。
あとの2問が応用問題になります。固定資産、有価証券、資本金などに関する問題が多く出題されていますが、バリエーションは限られていますので、10問程度やり込んでおけば確実に得点できるでしょう。
第2問
勘定記入の問題か、補助簿の記入または選択の問題が多く出題されています。
勘定記入は、第1問の仕訳問題とセットで学習しておくと効率よく理解できるでしょう。
一方、補助簿の記入と選択の問題は、個別に学習する必要があります。
補助簿の記入は決して難しい問題ではないので、数回の練習でマスターできるでしょう。
しかし選択問題のほうは、どの取引をどの補助簿に記入すべきかをしっかり理解しておかないと全滅する恐れもありますので、選択制だからと軽く見ないようにしましょう。
第3問
試算表の作成問題が多く出題されています。
配点の高い問題なので、確実に解答するためにはまず第1問の仕訳問題をマスターし、勘定記入も理解したうえで、第3問の試算表作成に取り組むという手順がベストです。
慣れるまでは、仕訳や試算表への転記に予想以上に時間がかかってしまうので、「問題を見たら手が勝手に動く」くらいまで、何度も繰り返し練習することが重要です。
第4問
伝票記入の問題が数多く出題されています。それ以外では、仕訳の間違いを直す「訂正仕訳」や、勘定記入の問題が出題されることもありますが、これらは第1問や第3問の学習をしっかりしておけば、十分対応できるレベルです。
伝票記入は第2問の補助簿と同じく、独特の帳票への記入なので、その記入方法に慣れることが先決です。
第4問の配点は低いので、どこまで習得するかは各人の判断にもよりますが、伝票問題の出題パターンは決まっていますので、他の問題に不安がある場合などはマスターしておくのも有効な戦略でしょう。
第5問
精算表の作成問題が出題されます。
言うまでもなく「精算表の完成」が完答の必須条件ですが、出題パターンには次の2つがあります。
精算表の「試算表」欄が…
①完成しているパターン(確定型)
②未完成のパターン(推定型)
出題頻度としては、①の確定型が圧倒的です。
注意しなければならないのは、①と②では解答までのアプローチがまったく異なるという点です。
簡潔に言うと、
①…「期末整理事項」の仕訳→精算表への転記
②…精算表に記入済みの勘定科目とその金額→精算表の空欄を推定して記入
となります。
①はオーソドックスな解答方法で、期末整理事項から仕訳を起こす練習を繰り返すことで、確実に得点できるでしょう。
一方、②はわずかな手がかりから正解を導きださねばならないので、「簿記」というより「探偵」の能力が求められるような解答方法です。
さらに、
・①をマスターしても、②ができるとは限らない
・②をマスターすれば、①も対応可能(第1問、第3問で仕訳をマスターしていることが条件)
と考えると、あえて②を多めに練習して、どちらが出ても大丈夫な状態にしておくのも一案かもしれません。
