貸倒引当金の設定(2)

前回は、貸倒れと貸倒引当金について説明しました。


そのなかで、貸倒引当金は見積もって算出するということを学習しました。ここでは、貸倒引当金の見積額を求める計算方法を説明したいと思います。


計算方法は簡単で、

貸倒引当金の見積額 = 売上債権(売掛金や受取手形など)の期末残高 × 設定率

で求めることができます。この内、設定率は試験問題で3%や5%など指示されていますのでそのまま使用してください。


では、実際に貸倒引当金の見積もりをしてみましょう。



売掛金の期末残高100,000円に対して、5%の貸倒れを見積もる。

  100,000 ×    0.05  =    5,000
売上債権の残高 設定率 貸倒引当金の見積額

 

貸倒引当金を見積もった場合は、貸倒引当金繰入 (かしだおれひきあてきんくりいれ)勘定という費用の勘定を使用します。貸倒引当金は、 資産のマイナス勘定というややこしい勘定になっています。なので、今回の様に貸倒引当金を見積もり、 増加した場合は貸倒引当金勘定の貸方に記入するので注意してください。


先ほどの、例を仕訳してみましょう。

 

借   方 貸   方
(貸倒引当金繰入) 5,000 (貸倒引当金) 5,000

 


< 差 額 補 充 法 >

貸倒引当金は、取引先の倒産にそなえて見積もっておくものなので、1年の間に取引先が倒産しなければ当然、残ります。そういった場合、 再度、決算の時期に貸倒引当金を見積もり、貸倒引当金の残高と貸倒引当金の見積額の差額を求め、足りない分を補充するようにします。

このような、貸倒引当金の補充方法を差額補充法(さがくほじゅうほう) といいます。


貸倒引当金の残高よりも貸倒引当金の見積額が多かった場合は、貸倒引当金が不足しているということなので、差額分を補充します。



見積額 > 残 高

売掛金の期末残高100,000円に対して、5%の貸倒れを見積もる。ただし、貸倒引当金残高が3,000円ある。


まず、貸倒引当金の見積額を求めます。

100,000 × 0.05 5,000


差額補充法により、貸倒引当金の見積額と残高の差額を求めます。

               5,000             3,000                2,000
貸倒引当金の見積額 貸倒引当金の残高 補充する貸倒引当金の額


当期は、2,000円の貸倒引当金を補充します。

 

借   方 貸   方
(貸倒引当金繰入) 2,000 (貸倒引当金) 2,000

 

次に、貸倒引当金の見積額よりも貸倒引当金の残高の方が多かった場合は、貸倒引当金を余分に用意しているということなので、 差額分の貸倒引当金を減少させます。



見積額 < 残 高

売掛金の期末残高100,000円に対して、5%の貸倒れを見積もる。ただし、貸倒引当金残高が6,000円ある。


まず、貸倒引当金の見積額を求めましょう。

100,000 × 0.05 5,000


差額補充法により、貸倒引当金の見積額と残高の差額を求めます。

 

               5,000             6,000                -1,000
貸倒引当金の見積額 貸倒引当金の残高 補充する貸倒引当金の額

 


差額がマイナスの場合は、貸倒引当金を余分に用意しているということなので、貸倒引当金戻入勘定(かしだおれひきあてきんもどしいれ) 勘定で処理をし、貸倒引当金を減少させます。


 

借   方 貸   方
(貸倒引当金) 1,000 (貸倒引当金戻入) 1,000

 



今度は、実際に貸倒れが発生した場合を見ていきましょう。


前回、貸倒れが発生した場合は、貸倒損失(かしだおれそんしつ) 勘定(費用の勘定)で処理をするということを簡単に説明しましたが、ここでは、仕訳を見ていきましょう。


得意先の尾張商店が倒産したため、同店に対する売掛金20,000円が貸倒れになった。

 

借   方 貸   方
(貸倒損失) 20,000 (売掛金) 20,000

 


すでに学習しましたが、貸倒になったということは、売掛金や受取手形などの売上債権が回収できないということなので資産の減少として、 売掛金は貸方に仕訳します。



このケースでは、貸倒引当金を設定していない状態で貸倒れが発生しました。それでは、 貸倒引当金を設定していた場合はどのように仕訳をすればいいのか見ていきましょう。



得意先の尾張商店が倒産したため、同店に対する売掛金20,000円が貸倒れになった。なお、貸倒引当金残高が50,000円ある。


 

借   方 貸   方
(貸倒引当金) 20,000 (売掛金) 20,000

 


先ほどは、貸倒損失勘定が借方に記入されていましたが、今回は、貸倒引当金を設定していたので借方は、貸倒引当金勘定を記入します。 貸倒引当金を設定していても、売掛金を回収できないことには変わりはないので売掛金は貸方に記入をし、減少させます。


貸倒引当金を設定しているのにそれ以上の金額の貸倒れが発生した場合は、どのように仕訳をすれば良いのでしょうか?


貸倒引当金残高 <貸倒金額


貸倒引当金だけで処理できない場合は、足りない分の金額を貸倒損失で処理をします。


得意先の尾張商店が倒産したため、同店に対する売掛金90,000円が貸倒れになった。なお、 貸倒引当金残高が50,000円ある。


借   方 貸   方
(貸倒引当金) 50,000 (売 掛 金) 90,000
(貸 倒 損 失) 40,000


貸倒引当金が足りない場合でも、必ず貸倒引当金を全額使い切るようにしてください。足りない分は貸倒損失で処理されてますよね。


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2005年11月23日 13:05

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コメント

質問1
貸倒戻入は収益の勘定になるんでしょうか?

質問2
得意先の尾張商店が倒産したため、同店に対する売掛金20,000円が貸倒れになった。なお、貸倒引当金残高が50,000円がある。


借   方 貸   方
(貸倒引当金) 20,000 (売掛金) 20,000

この場合残りの30、000は貸倒引当金 にそのままのこるんでしょうか?

それとも決算時に戻入として処理するんでしょうか?

おしえてください。 

投稿者 koji : 2006年08月11日 17:57

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