決算の概要

この章から、簿記の目的でもあります「経営成績を明らかにする」「財政状態を記録する」を達成するための手続きである「決算」 について学習します。


決算とは、経営活動を区切り、その期間(会計期間) の損益を計算し、業績や財政状態を明らかにするために、 貸借対照表や損益計算書を作成する作業のことをいいます。


決算を行うことで、事業が上手くいっているのか、当初立てた計画や予想通りに経営が行われているかを把握することができます。


少し、イメージしづらいかと思いますが、貸借対照表や損益計算書は、企業の通信簿のようなものと思ってください。 通信簿をみると自分の成績がわかりますよね。自分の成績ってとても興味がありますよね。


企業も一緒で、自分の経営成績はどうなんだろうか、儲かっているのか損しているのかということがとても重要であり興味のあることなんです。 また、成績がわかれば、どこを修正すればよいかということもわかりますよね。


そのためには、ある一定期間の区切を設けて、利益や財産を計算する必要があります。この区切を会計期間と呼ぶというのは既に学習しました。 忘れてしまった方は、もう1度「会計期間」 のページを確認してみてください。


学校でも1学期、2学期、3学期ってありましたよね。この1つの学期が会計期間にあたります。


学校の場合ですと、学期中に先生が通信簿をつけていますが、企業の場合は、学期(会計期間)の最後の日に通信簿をつけるんです。 この通信簿をつける手続きがこのページのテーマでもある「決算」ということになります。


決算というとわかりづらいので、「企業の通信簿をつける手続き」という風にイメージすると少しは、理解しやすいのではないでしょうか。


以前、説明しましたがもう1度、簿記の流れを見てみましょう。


企業は、期中に様々な取引を行い、そのつど、仕訳、転記を行います。そして、期末に帳簿を締め切り貸借対照表、 損益計算書を作成するという流れになります。



< 決算の手続き >

期中なら本来しなくてもいい処理を、決算では、決算特有の手続きとして処理する必要がでてきてしまいます。決算の手続きには、 一定の順序があり、大きく分けると「決算予備手続」、「決算本手続」、「決算報告手続」の順序で進められます。


次にそれぞれの手続きについて説明しますが、これらを暗記する必要はありません。これから学習を進めていく上で自分は、 どの段階を学習しているんだろうかという確認に使ってください。


決算予備手続
決算を行うための準備をする手続きです。


(1)試算表の作成
  総勘定元帳に記載された各勘定を一覧表にまとめ、総勘定元帳の記載に間違いや記入漏れがないか確認し、間違いがあった場合は、 訂正します。(試算表については、「試算表」 のページを確認してください)
 
(2)棚卸表の作成
 棚卸表とは、これから説明する決算整理事項の明細を一覧表にまとめた表のことです。
 資産や負債について実際の有高を確認し、帳簿上の残高を実際の有高に調整します。(試験では、棚卸表は出題されませんので、 参考程度に留めておいてください。)
 
(3)精算表の作成
  精算表とは、期中の取引(日常の取引)を記録してきた記帳結果に、日頃の取引では把握できない取引(決算整理で整理した取引) を反映させるために作成します。 詳細については、後で説明します。


決算本手続
1年間の取引をそのまま集計しても残念ながら、正確な「貸借対照表」「損益計算書」を作成することができません。正確な「貸借対照表」 「損益計算書」をするには、いくつかの修正手続きが必要になります。これを「決算本手続」と言います。

決算本手続は帳簿決算とも呼ばれ、純利益の計算や単純な帳簿の締め切りなどが行われます。

この決算本手続は、簿記の中でも、とても大切な作業になります。また、日商簿記検定3級でも出題される可能性がかなり高い個所なので、 このページ以降でしっかりと学習していきます。


(1) 決算整理
 期中に作成された仕訳帳や総勘定元帳は、必ずしも正確なものとはいえません。これは、 期中処理上やむを得ず不完全な処理をしなくてはならないものも存在するからです。
 
例えば、期中の取引には、当期なのにこれから支払うものや当期に商品を販売したが、支払期限が到来していないのでまだ、 請求書を発行していないなど、当期の会計期間に対応されていない場合があります。
 
そうした場合、正しい損益計算書と貸借対照表を作成するため、決算日に修正のための仕訳を行います。この手続きを決算整理と呼び、この仕訳を「決算整理仕訳 と呼びます。
 

決算整理が必要な事柄を決算整理事項と呼び、日商簿記3級では、 次の決算整理事項を学習します。
 
 ・ 現金過不足の決算整理
 ・ 消耗品の決算整理
 ・ 売上原価の計算
 ・ 貸倒引当金の設定
 ・ 有価証券の評価
 ・ 固定資産と原価償却費
 ・ 収益の見越しと繰延べ

後ほど、じっくりと学習していきますので、 今の段階では決算整理事項にはこういうものがあるんだという事だけ頭の隅において置いてください。


(2) 決算振替
 決算振替は、損益勘定(そんえきかんじょう) という決算の時だけ設ける勘定に収益と費用をいったん集めてしまい、そこから当期純利益を計算し、 資本の勘定へ振替える手続をいいます。

これだけだと、ちょっと理解しづらいと思いますが、ここでは、決算の手続きの概要を説明しているだけなので、決算振替については、 後ほどしっかりと学習します。


(3) 元帳・仕訳帳の締切り
  仕訳帳・総勘定元帳など、各帳簿を締め切ります。


(4)繰越試算表の作成
 繰越試算表とは、各勘定を締め切った後、各勘定の次期繰越高を集めてものです。
 

決算報告手続
財務諸表を作成する手続きになります。財務諸表とは、貸借対照表と損益計算書のことです。

(1)貸借対照表の作成
(2)損益計算書の作成


以上が、決算手続きの流れになります。いっぺんに色々な用語が出てきたので、ここで1度、決算手続きの流れを図で確認しましょう。



決算は、複雑なので最初は、とても理解しづらいと思います。しかし、日商簿記3級でも決算に関しては、出題頻度も高く、 とても重要な事項なので何度も学習して理解できるようにしといてください。


次からは、具体的に決算のそれぞれの処理を学習していきます。学習の際に、いまどの段階なのかをこのページに戻って、 決算の流れを確認しながら学習していくとそれほど混乱せずに学習できると思います。

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2005年11月06日 16:32

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