自己受為替手形・自己宛為替手形
先ほどは、為替手形について学習しましたが今回はちょっと特殊な為替手形について学習します。
為替手形では、振出人、名宛人、
指図人の3人の登場人物が出てきましたよね。
今回学習する自己受(じこうけ)為替手形
と自己宛(じこあて)為替手形 は、
2者間の取引になります。そして、振出人と指図人、
振出人と名宛人が同一人物になるという一人二役の使い方をします。
これだけでは、ちょっと分かりづらいと思いますがとりあえず、ここでは、自己受為替手形と自己宛為替手形は、 一人二役ということだけ覚えてください。
私が、勉強していた時はこの自己受為替手形と自己宛為替手形が納得できませんでした。なんで、わざわざこんな事をする必要があるのか? と思いながら学習していました。
市販の参考書にはあまり詳しくのっていないのでここでは、「なぜ、必要なのか?」と言う点にも触れていきたいと思います。
まずは、自己受為替手形から学習していきましょう。
< 自己受為替手形とは
>
自己受為替手形とは、振出人と指図人が同一人物になる為替手形です。
どういうことかというと、自分を受取人として手形を振り出すんです。
約束手形を思い出してください。自分が手形を振り出したら、相手がその手形代金を受けとってましたよね。

しかし、自己受為替手形は自分で手形代金を受け取るために振り出します。結果的には、 相手が約束手形を振り出したのと同じ状態にすることができます。

なんで、わざわざこんな回りくどい事をするのでしょうか?
例えば、あなたがA商店に商品を掛で売り上げたとします。当然、A商店に売掛金ができますよね。
しかし、しばらくたってもA商店は売掛金を支払ってくれません。売掛金は、 特に支払期日が決まっていないのでA商店が支払ってくれるまで待たなくてはいけないんです。
このような時にあなたが自己受替手形を振り出して、A商店が承諾すればA商店の支払方法は手形になります。
支払方法を手形にしておけば、 支払期日までに支払わないとA商店は不渡りになってしまうので支払期日通りにきちんと支払ってくれるようになるという訳です。
このように、自己受為替手形は相手に支払期日を明確にしてもらうために振り出すんです。
鋭い方なら、「それならば、相手に約束手形を振り出してくれるようにお願いすればいいじゃなの?」と思ったのではないでしょうか?
そうなんですよね。しかし、相手に約束手形をお願いする場合、相手が約束手形をすんなりと振り出してくれないことがあります。 約束手形の発行には当座預金の開設が必要だからです。
当座預金の開設には信用力が必要ですので簡単にはいかない場合もあります。 自己受為替手形の引受人になった場合には当座預金の開設は不要です。
こういった理由から、自己受為替手形を利用します。
それでは、自己受為替手形を振り出した側と引き受けた側の取引と仕訳を見ていきましょう。
為替手形を振り出した側の仕訳
伊豆商店に対する売掛金40,000円の回収のため、
伊豆商店を名宛人、当店を受取人とする為替手形を振り出し、伊豆商店の引受けを得た。
| 借 方 | 貸 方 | ||||
| (受取手形) | 40,000 | (売 掛 金) | 40,000 | ||
自己受為替手形の場合、為替手形を振り出した側が手形代金を受け取ることができるので、受取手形勘定の借方に記入します。 同時に売掛金は回収したので消滅し、売掛金勘定の貸方に記入します。
手形の支払を引き受けた側の仕訳
仕入先、
近江商店に対する買掛金10,000円について近江商店振り出しの為替手形10,000円の呈示を受け、引き受けた。
| 借 方 | 貸 方 | ||||
| (買 掛 金) | 10,000 | (支払手形) | 10,000 | ||
手形の支払を引き受けた側は、手形代金を支払う義務が生じたため、支払手形勘定の貸方に記入します。 買掛金は消滅するので買掛金勘定の借方に記入します。
<
自己宛為替手形とは>
自己宛為替手形とは、
振出人と名宛人が同一人物になる為替手形です。これは、
自分が為替手形を振り出して名宛人を自分にし、相手に手形代金を支払うという為替手形です。
この自己宛為替手形もとても理解しづらいです。わざわざ自分を名宛人にして相手に手形代金を支払うのなら、 約束手形を振り出して相手に支払う方が面倒臭くなくて良いのではとずっと思っていました。
では、自己宛為替手形にする理由はなんなのでしょうか?
例えば、A社という全国展開している企業があったとします。A社の本店は東京にあり、大阪に支店があります。A社は、
大阪支店で商品を仕入れた場合も、本社から一括して代金を支払うようにしています。
大阪支店が、大阪のB商店から商品を仕入れた場合を考えてみましょう。
この場合もA社は支払いを東京本社で一括して行います。この時、東京本社が約束手形を振り出して支払ってしまうと、
東京から大阪と遠隔地のため取立手数料といものがかかってしまいます。
企業としては、できるだけ無駄な経費はかけたくないですよね。なので、 大阪支店からB商店に対して代金を支払ってもらうように東京本社から大阪支店を名宛人にし、B商店を指図人とする為替手形を振り出します。

こうすることで、取立手数料をかけずに東京本社が支払業務を行ったことになります。
この場合、東京本社と大阪支店は同じ企業なので自己宛為替手形になります。
それでは、取引と仕訳を見ていきましょう。
三河商店は、尾張商店への買掛金20,000円を支払うため、名宛人:三河商店、指図人:尾張商店とする為替手形を振り出し、 尾張商店に渡した。
| 借 方 | 貸 方 | ||||
| (買 掛 金) | 20,000 | (支払手形) | 20,000 | ||
三河商店は、自分を名宛人として尾張商店に手形代金を支払っているので、支払手形勘定の貸方に記述します。 買掛金はその時点で消滅しますので買掛金勘定の借方に記述します。
自己受為替手形と自己宛為替手形は一見、 意味のないように感じる事もありますがそれなりに意味があるということは分かって頂けたでしょうか?
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2005年09月12日 04:37
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コメント
難しいことをすごく易しく説明して下さいましたので,自己受為替手形と自己宛為替手形を用いて決済する理由が分かりました。一つ疑問に思うところがありますが,教えていただければと思いまして。
自己宛為替手形については,説明によるとやはり三者が存在しています。つまり,子会社に依頼するということです。仮に子会社の有しない会社では,自己宛為替手形を振り出す場合がありますか?もしあるとしたら,約束手形との区別はなんですか?
もう一つコマーシャルペーパーについて教えていただきたいですが。一般的にコマーシャルペーパーについて,企業が短期の資金調達のために発行している自己宛の無担保約束手形のことであると説明されている。この説明について疑問に思うところが二つありまして,一つは約束手形は言うまでもなく自己宛,つまり自己が支払い人となるのに,何故わざわざ自己宛という言葉を用いるのか理解できない。もう一つは,コマーシャルペーパーは資金調達手段の一つなので,企業側が発行したのは実質的に借用証書となると思いますが,何故約束手形と解釈するのか理解しがたいところです。約束手形だと,取引先に代金支払いのために,発行するものというイメージがありますが,ご考え方を教えていただければ幸いに思います。
よろしくお願いします。
投稿者 ショウ : 2005年12月03日 12:53
零細企業である、取引先から、同じく零細企業である当社への支払いが、いつも自己宛為替手形です。
理由は何が考えられますか?
取り立て料の節約ですか?
印紙は、約束手形なら先方が貼ってくれるのに、自己宛為替手形は、こちらもちなので、当社が払わなければ成りません。
うちも自己宛為替手形にすべきですか?
うちはいつも、約束手形や、回し手形で支払いをしています。
投稿者 yurika : 2006年02月14日 14:03
